スズガモ

#(49823)s.JPG

真っ黒い坊主頭に黄色の真ん丸目、薄い青色の大きな嘴。何やらとても滑稽な感じがする。近くで見たのは初めてだが、スズガモだなと見当が付いた。

#(49861)s.JPG

港の中を6羽の小群が泳いでいた。一羽が勝手に逆方向に行こうとして、それをリーダーが見咎めている、ふとそんな想像をしてしまう。

#(49863)s.JPG

頭の黒いのは雄。光の加減で緑がかっても見える。茶色は雌。雌は嘴の付け根が白い。では後ろの一羽、雌とそっくりだが嘴の付け根が白くないないのは何ものだろう。あまり白くならない変異の雌かあるいは幼鳥か、それともエクリプスの雄か。まあ背中の色合いなど雄に似ているようだ。

#(49815)s.JPG

真正面から見る。大きな嘴は少し上に反ってその先端が汚れたように黒い。顔は目のあたりがへこんでいて、それが頭の丸さをことさら目立たせている。なんだか漫画にでも出てきそうだ。

#(50019)s.JPG

水浴びで体を倒したので上面の羽の色が見えた。さざ波模様が黒い頭との対比で一層映える。

#(50012)s.JPG

羽の手入れに余念がない。鳥たちは尾羽の付け根にある尾脂腺から分泌される油を嘴に付けて全身の羽に塗り付ける。その油分が水をはじいて羽毛が濡れるのを防いでいるのだから、羽づくろいは特に水鳥に取っては命にかかわるほど重要なことなのだ。首は見た目より長く伸びて、大きな嘴は隅々まで届くようだ。

#(50015)s.JPG

水面でほとんどひっくり返ったりする。大きな足で頭を掻いているのが気持ちよさそうだ。しばしばこうするので、そんなに頭がかゆいのかと思ったらとんだ見当違いだった。じつは嘴の油を足で受けて、それで嘴の届かないところに油を塗っているのだった。

#(50003)s.JPG

突然羽を広げた。飛び立つのかと思ったが、そうではなく水浴びの続きの体操みたいなものだった。飛び立つときは、水面をばしゃばしゃ10歩ほども助走する。

#(50001)s.JPG

オーケストラの指揮者といったところか。すまし顔がおかしい。こういうところはクロガモとそっくりだ。実際近い仲間ではあるが、同じカモ科ハジロ属とするより、クロガモはクロガモ属と別にする説の方が有力のようだ。

#(50025)s.JPG

後ろからだと腕を広げてまるでラジオ体操でもしているようだ。羽の上面に白帯のあるのが目立つ。

#(49821)s.JPG

羽づくろいが終わって静かに泳いでいると思ったら突然海中に飛びこんだ。こうしたこともクロガモと同じで、かなり頻繁に潜り30秒くらいは出てこない。食性も似ていて、海底まで潜って貝類を丸呑みし、強力な砂嚢で砕いて消化してしまうそうだ。

#(49868)s.JPG

海から浮かんでくると体の表面はずぶ濡れになっている。大きなあくびを続けてしたが、もしかしたら深呼吸だろうか。

#(50056)s.JPG

泳ぎ疲れたか体を丸めて休憩している。そのうち目を閉じて昼寝になったりする。ゆっくり流されて行った先にはクロガモがいた。なお、クロガモは1月末には見えなくなったが、2月半ばに3羽が戻っていた。岸壁近くに来て船の係留ロープに噛みついて、フジツボかカキでも齧り取っていた。スズガモも同じ食性のはずだが、一緒にいても彼らがそうするのを見たことがない。もしかしたら嘴がクロガモほど丈夫ではないのかもしれない。その代わりというか、彼らは海草なども食べるという。

#(50063)s.JPG

ずっと沖の方に群れがいた。こういう姿は東京湾で見たが、そちらでは海面を埋め尽くすほどの大群だった。葛西や船橋沖が日本最大の越冬地だそうだが、昔は幕張や千葉の先まで延々と豊かな干潟が続いていて、私が子供の頃はバケツ一杯のアサリやハマグリなど簡単に採れたものだ。今、わずかに残った干潟に10万羽いるとも言われているが、そうすると当時は何百万羽もいたのではないだろうか。

ともかくこんなに近くで見ることができたのはここ伊東の港で初めてだ。ここには他にもカンムリカイツブリやオオバン、ウなど潜水する水鳥たちがよくいる。ただ釣り人たちも多く、たぶん海底は捨てられた釣り針や釣り糸で覆われるほどにもなっているだろう。鳥たちが引っかかったりしないか心配になる。

さて鈴鴨の名前はかわいらしいが、その由来は飛び立つときの羽音が金属質で鈴の音に似ているからというのが定説のようだ。しかし目の前で聞く限り、ばしゃばしゃ、わさわさ騒がしいだけで、鈴の音のような風雅さとは縁遠いとしか思えなかった。

(学名:Aythya marila L.)